派遣保育士という働き方のメリットとデメリット。向いている人とは

保育園で働くには、正社員とパートの他に、派遣保育士という働き方があります。

派遣というと、不安定なイメージを持つ人もいるかもしれませんが、時給が高く休みも取りやすいことから、派遣という働き方を選ぶ人も増えてきました。

そこで派遣保育士として働くメリットと気になるデメリットについてご紹介したいと思います。

派遣保育士と保育園との関係

派遣保育士と保育園との関係派遣保育士は派遣元となる人材派遣会社に籍を置くことになり、派遣会社から派遣元となる保育園に保育士の要請が入り、勤務することになります。

給与は保育園側が人材派遣会社に派遣料を支払い、派遣会社から保育士に給与が支払われる仕組みです。

派遣と紹介予定派遣

派遣にはさらに2つの働き方があり、契約期間に基づいて勤務する派遣という働き方と、正社員や常勤として雇用することを前提とした紹介予定派遣があります。

  • 派遣保育士
  • 紹介予定派遣

保育園で人が足りないと、派遣として保育士が入ってくる場合も多いものです。その時、この言葉の意味を知っていると、後々常勤として一緒に働く人だと分かるので、この言葉については覚えておきましょう。

派遣保育士で働くメリット

派遣保育士で働くメリット

時給が高い

派遣保育士として働く最大のメリットは、なんと言っても時給の高さです。
厚生労働省が調査した「企業規模別新規学卒者の初任給の推移」によると、平成29年の大学卒の初任給の平均は207,800円でした。

これに対して派遣保育士の時給は地域や施設形態によっても違いますが、1200円から1400円かそれ以上の時給になります。

  • 常勤で働いた場合は月給が21万円
  • 派遣保育士なら時給が1200円から1400円
数字をみてもピントこないですよね。もう少し細かく見ていきましょう。

派遣保育士が仮に正社員と同じ時間の176時間働いたとすると、

  • 時給1200円の場合:1,200円✕176時間=211,200円
  • 時給1400円の場合:1,400円✕176時間=246,400円

時給1400円で働いた場合、初任給の平均をはるかに超えた給与になることが分かります。

176時間とは、1日8時間勤務で週休2日制。月に22日働いた場合の平均的な月の労働時間です。

この月額の違いからも時給の高さが分かりますよね。

派遣保育士という働き方は、子育てと両立したい人や、多くの園で経験を積んでみたい人、その他、月給を優先して働きたいという方におすすめです。

参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」

基本的に残業は発生しない

上記の金額を見てもらうと分かるように、時給が高い分残業が発生すると多く給与を支払わなければいけません。そのため派遣保育士は基本的に残業はありません。シフト通りの勤務で休日も確保できるため、仕事とプライベートとの両立が可能です。

有給や休みが取りやすい

保育園では保育士がローテーションを組み、シフトで働いていますが、人手が足りない場合は配置を優先するため休みが取りづらいということも少なくありません。

しかし、派遣保育士は、派遣元である派遣会社と、派遣先である保育園との間で契約が取り交わされているので、休みが保障されているのです。

残業もなく、休みも取りやすいということは、子育てと仕事で時間的な制約がある人にとっては優しい働き方といえるのではないでしょうか。

保育園の人間関係で困ったときには、派遣元に相談できる

保育圓は女性が多く働く職場なので、人間関係の悩みはつきものです。中には考えや価値観が合わず、保育に支障をきたす関係になってしまう人もいるほど。

園長や主任に相談することもできますが、相談した内容が他の保育士に漏れてしまうことを考えると、なかなか相談しづらいものですよね

その点派遣保育士は登録している会社に籍を置いているので、派遣元に相談できるというメリットがあります。

もちろん、情報が漏れることはありませんし、嫌なことや愚痴を吐き出す場所があるというのは、大きな安心につながるのではないでしょうか。

派遣元となる会社も情報を得られることで、どのような保育士を配置すればいいのか判断材料にしているのです。

保育園が合わなかったら、契約期間後に異動が可能!

派遣保育士は半年や1年という契約期間を設けて、契約に基づいて働いています。辛いことがあっても一定の期間我慢すれば、他の圓に異動することも可能なのです。

ある意味割りきって仕事ができるのも、派遣保育士のメリットの一つかも知れません。

派遣保育士で働くデメリット

派遣保育士で働くデメリット時給が高く、休みも取りやすい派遣保育士ですが、当然デメリットも存在します。どのような点があるのでしょうか。

ボーナスがない

派遣保育士は時給制なので、働いた時間数に時給をかけて給与として支払われます。手取りとしては、常勤職員よりも高めですが、ボーナスがないというデメリットが存在します。

手取りを多くもらいたいのか、それとも、年収が多いかは難しい部分ですよね。例えば、上記の例で初任給21万円と時給1200円の保育士の年収について考えてみましょう。
分かりやすくするために、基本給のみで各種社会保険などを除いた金額で計算してみます。

雇用形態が違う2人の保育士が働いていたとして考えてみましょう。
  • 常勤保育士Aさん:基本給21万円
  • 派遣保育士Bさん:時給1,200円
 賞与が夏と冬で2か月分支給された場合、どちらの方が年収が多いと思いますか?
  • 常勤保育士Aさん:210,000円✕12ヶ月+賞与2ヶ月(夏と冬)=2,940,000円
  • 派遣保育士Bさん:1,200円✕160時間✕12ヶ月=2,304,000円

常勤保育士Aさんと、派遣保育士Bさんの金額の差は、636,000円という大きな開きがでることに。でも、残業がなく、休みも確保される。合わなかったら契約期間が満了したら別な保育園で勤務できる。対価の代わりに自由度が高いというのがデメリットでもあり、メリットでもあるのです。

あなたが働くなら、お金を優先しますか?それとも、勤務時間や休みなど、働く環境ですか?

契約期間による弊害やしばり

派遣保育士で働く場合、体調不良で休みになった保育士の代わりに保育園で働くこということも考えられます。

その場合、3ヶ月という短期の契約期間というケースもありますが、保育園内の人間関係もよく、保護者との信頼関係もできて働きやすい。

今まで勤務した保育園の中で一番働きやすい保育園かも。と思っても、契約期間で勤務が終了となります。

まれに、契約の延長をするケースもありますが、派遣として働く場合、どんなに居心地の良い職場でも期間の定めがあることを頭に入れて仕事をしなければいけません。

派遣=第三者として扱われる傾向も

保育園の中には、常勤と非常勤、または正社員とパートという職種の人が働いていますが、派遣保育士は、外部からの派遣なので、第三者として扱われてしまうこともあります。

常勤の打ち合わせに出席できないケースや、行事の担当を任せてもらえないことも。保育園内の情報共有として、常勤のみのグループLINEに自分が招待されていないことが分かった時も、ショックを受けるかもしれません。

これらのことも踏まえて、派遣保育士として割り切って仕事をすれば、ストレスを感じることもありません。そして、子どもたちにじっくり向き合うことができると考えると気持ちも楽になるのではないでしょうか。

派遣保育士で働く人の声

派遣保育士で働く人の声時給が高く、残業がない。休みも保障されているが、さまざまなデメリットもある派遣保育士ですが、実際に働いている人はどのように感じているのでしょうか。エンパワー・サポート株式会社が調査したアンケートをご紹介したいと思います。

  • 決まった時間にあがれるので、プライベートの時間を充実させられるようになりました。(K子さん)
  • 自分の希望が通り働きやすいと思います。ある程度、割り切って「自分は自分」というところを強く持っていると、職場でもスムーズに働くことができると思います。(のりえさん)
  • 私は、子どもは手がかからなくなりましたが、親の世話や自分の体力を考え、フルタイムで働くのはむずかしい・・・でも仕事はしていたいと思っていたのですが、なかなか自分の思う時間帯の募集がなく、今回初めて派遣で働いてみました。希望の時間帯の仕事なので満足しています。(コロママさん)

出典:エンパワー・サポート株式会社

皆さんそれぞれの人生の中で、いろんな思いを描きながら派遣保育士という仕事に満足して働いていることが伺えます。

派遣保育士に向いている人・向いていない人

派遣保育士にはメリットとデメリットの両方がありますが、実は派遣に向いている人と向いていない人がいるのです。それはズバリ!こちら

向いている人

向いている人

いろいろな施設で経験を積みたい人や、変化に対応できる人。園長や主任以外の保育士の指示にも抵抗がない人は、割り切って仕事ができるので派遣保育士に向いています。
私は仕事とプライベートを両立させたいから派遣保育士に向いているかも

向いていない人

向いていない人

子供達の成長を見届けたい人や、安定した職場で働きたい人、役職がない人に指示されたくない人はストレスをため込んでしまう可能性があるので、派遣保育士に向いていません。
時給だけでは心配・・・ボーナスがもらえて安定した場所で保育したいから、派遣には向いていないかも。

自分が向いていないのに、派遣で働くとやっぱり合わなかった。辞めたいという悪いサイクルに陥ってしまうので、性格やライフスタイルに合わせて選ぶようにしましょう。

派遣会社の選び方

派遣会社の選び方派遣保育士は、デメリットもあるけど、私の働き方に合っているかもと思った人は、派遣会社に登録してみませんか。

でも、何を基準に選んだら良いのか分からないという人のために、派遣会社の選び方について紹介したいと思います。

希望するエリアに対応しているかどうか

まずは、希望する勤務地に派遣会社が対応しているかどうかが重要なポイントになります。関西に住んでいるのに、都内の求人しか扱っていなければ、登録する意味がありません。

コーディネーターがキャリアプランを汲み取ってくれるかどうか

希望するエリアの求人を紹介してもらえることを確認したら、無料の会員登録をして、担当のコーディネーターに希望を伝えて、派遣先を紹介してもらいます。派遣会社とは長い付き合いになるので、コーディネーターとの相性は大事なポイントになってきます。

【コーディネーターとのやりとりの一例】

  • 派遣先を見つける前の条件ヒアリング
  • 就業中の悩み相談
  • 契約満了に伴い、次の派遣先の選定など。

派遣先を紹介して、その後のフォローがない場合は、悩みや問題に直面しても一緒に解決してくれるパートナーになってくれません。

「この会社のこの担当者なら、なんでも相談できる。」という人に巡りあえるよう、複数の会社に登録して担当者との相性を見極めましょう。

派遣会社は一社ではなく、複数登録してコーディネーターとの相性を見極めるのがポイントです。

まとめ

派遣保育士にはメリットがたくさんある分、契約終了という辛い場面に遭遇することも少なくありません。

しかし、子育てと仕事との両立を実現したい人や、経験を積みたい人にとっては魅力的とも言えるのではないでしょうか。あなたに合った働き方の一つとして、派遣保育士という選択肢も検討してみてくださいね。

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