「保育園の仕事が嫌で仕方がない」「全てを捨てて明日、いや、今すぐにでも辞めたい」と思っているあなた。
衝動的な思いで行動してしまうと、後で後悔することになってしまうため、注意が必要です。
そこで、今すぐ辞めることのリスクについて考えてみたいと思います。
有給を消化できない
すぐにでも辞めたいと思うのは、非常に緊迫した状態で、あなた自身も追い詰められている証拠。とても辛いですよね。
こんな状況になるなんて考えもしなかったので、計画的に有給を使っていなかったのでは。
有給休暇は、労働基準法の第39条に定められた労働者(保育士)に与えられる権利の一つ。勤続年数に応じて法人が定めた有給が付与されていきます。有給休暇の日数を確認してみると、2つのパターンがあります。
【通常の労働者の付与日数】
勤続年数 | 6か月 | 1年半 | 2年半 | 3年半 | 4年半 | 5年半 | 6年半以上 |
付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
【週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者】
周所定労働日数 | 1年間の 年所定労働日数 | 継続勤務年数 | ||||||
0.5年 | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5年以上 | ||
4日 | 169日 – 216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
3日 | 121日 – 168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
2日 | 73日 – 120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
1日 | 48日 – 72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
出典:厚生労働省「有給休暇の付与日数」
勤続年数が長ければ長いほど、この有給休暇の日数も増えていくのです。しかし、突然辞めてしまうと、せっかく権利として得た有給を使うことができません。
できるなら、計画的に有給を使って残さず退職したいものです。また、退職日が決まったら、最後は有給消化で出勤する期間を短くすることも可能!計画的に使うか、最後に有給消化して辞めるかを考えてみませんか。
給与の締め日前の退職は要注意!
あなたの保育園は、給与の支給日はいつですか?この給与の支給と退職には実は大きな関係があるため注意が必要なんです。
【給与の支給日 】
- 10日
- 15日
- 20日
- 25日
- 月末
このように、5の倍数で給与日を設定している保育園や法人が多いもの。これは、給与を受け取る側も分かりやすいですし、給与の計算をする法人側も分かりやすいというメリットがあるためです。
仮に月末支給を例にとって考えてみると、1日から30日、または31日までの勤務を締めて給与の計算を行い、銀行に振込の手続きを行います。
この時、欠勤の場合は減額されますし、健康保険や厚生年金、雇用保険など保育士が支払う金額の計算などが行われるのです。
しかし、30日を待たずして、15日に突如辞めた場合、シフトにもよりますが、月の半分は勤務していないという実績になってしまいます。
基本給と手当を合わせた給与額から、個人の負担額を引いて給与として支給されるものが、本人の負担額が差し引かれず、別途徴収されることもあるのです。
辞めたのはいいけれど、落ち着いた頃に法人から厚生年金と健康保険の不足分の振込依頼文書が届くとしたら、急な出費で困ってしまいます。
このように法人の給与の締め日を待たずして辞めてしまうと、不足分を支払わなければいけないというリスクが発生するので、いつ退職したらいいのかを見極めるのが重要になってくるのです。
収入がなくなる
不足分を自分で払ったとしても、すぐにでも辞めたい。運良く給与の締め日やいろいろなタイミングが合って辞められたとしても、次は金銭的な面を考えなくてはいけません。
働かなくなるということは、当然収入もなくなります。在職中はもしもの時のために雇用保険に加入していますが、受給するためには要件があり、ハローワークに行って手続きをしなければ受け取ることはできません。
もし、どうしても辞めたいと思うなら、数カ月生活できる位の貯金があるかどうか。または、別の保育園に転職することを決めてからの退職の方が金銭的な悩みが一つ減るのではないでしょうか。

健康保険や年金など各種手続きをしなければいけない
今まで給与から天引きという形で支払っていたものが、退職すると、自分で支払わなければいけないため、新たに手続きをしなければいけません。
何をどうやって手続きするのかも全く分からないものです。転職先が決まっていれば、そのまま法人で手続きしてもらうこともできるのですが、退職に伴う各種手続きは大きな壁と言えるかもしれません。
転職先を見つけられる保証はない
「とにかく、退職してから時間をかけて新しい転職先を見つけたい」「退職しないと気持ちの整理がつかない。」と考える人も多いのではないでしょうか。
時間ができれば、調べる時間もできるし、面接の日程調整も必要ない。でも、辞めたからといって、必ずしも良い転職先を見つけられるとは限らないのです。この「なんとかなる」という気持ちが、後にあなた自身を追い詰める要因にもなってしまいます。
時間ができる分余計な事も考えてしまう
退職してから転職活動を行うメリットは、調べる時間や自由な時間ができるという点です。
しかし、時間がある分今まで考えもしなかった事や、金銭的な不安を考え、あれこれ余計な事も考えてしまうものです。
今まで1日の1/3は仕事していたものが、24時間フリーになってしまうと、時間の使い方も分からなくなってしまいます。
適度に考える時間があり、リフレッシュできる時間を作る。簡単なようで実は難しいことなので、時間の使い方についても改めて考える必要があるのではないでしょうか。

他にもある。こんな辞め方は要注意!
今すぐ辞めたいと思いながらも、葛藤を繰り返すのは本当に辛いものです。突然辞める、ということはしないにしても、他にも注意しなければいけない辞め方があるので、確認していきましょう。
無断欠勤
体調が優れず度々休むようになると、気持ちはもちろん、仕事へ行くことさえ億劫になってくるものです。
何回か休んでしまうと、現実逃避することができ一時的に気分は回復します。しかし、これは一時的なものなので、根本の解決ではありません。
そのため、休むことを繰り返し連絡するのさえ嫌になり無断欠勤するケースも。辛い状況が続いているのかもしれませんが、他の保育士に迷惑をかけ、ますます辞めづらくなってしまうので、連絡して休み、心と体の健康を取り戻すようにしましょう。
無断欠勤からのフェードアウト
無断欠勤が続くと、仕事に生きたくない気持ちがどんどん増してしまいます。
そして、結果的にフェードアウトという形で退職をする人も。
でも、これは社会人としてマナーに反する行為の一つなので、絶対にやってはいけません。体調不良が原因であれば、医師の診断書を提出し、早めに退職させてもらえるように相談してみましょう。
保育園から連絡してもつながらない場合は、保育園側は連絡履歴を残している場合もあります。保育士の配置人数が不足して、派遣保育士を依頼するケースに発展することも。
当然、常勤の保育士よりもコストがかかりますし、保育園から連絡しても出ないという悪質さから、損害賠償を請求される可能性があることも頭に入れておかなくてはいけません。
誰が聞いても、無断欠勤からのフェードアウトは絶対にやっては行けない行為の一つです。
辞め方が次の転職に影響を与える
保育士の仕事をしている皆さんは、子どもが好きなので、どんなに嫌なことがあっても子どもたちと関わる仕事がしたいはずです。
退職してから、気持ちをリセットして再就職する人もいれば、退職してじっくり時間をかけて次の転職先を探そうという人も。
しかし、辞め方が悪いと次の転職先にも大きな影響を与えてしまうのです。それは、履歴書や職務経歴書の業務内容、そして面接の場面では、退職の理由が聞かれるためです。
曖昧な退職理由なら、「きっと前の職場で揉めたのかも」と思われてしまいますし、トラブルがあって辞めた人は採用したくないという気持ちも働いてしまいます。
社会人の一人として、就業規則というルールを守って円満に退職し、次のステップに進むようにしましょう。
前職の人物確認をされるケース
履歴書や職務経歴書は、マニュアル本を見て作り込み、退職理由も無難なものを予め準備しておくことは可能です。
しかし、面接官もプロなので、それが本物なのかどうか簡単に判断されてしまうのです。
その場合、急に辞めたということが、面接対策を行っていても、少しでもおかしな言動が見受けられたら穏便に面接を終わらせ、履歴書に書かれている前職に連絡し、人物確認をするケースもあります。すぐに分かってしまうのです。

表となる部分をいくら着飾っても見る人が見たら、ボロが出てしまうので、辞め方が大事であることを改めて再確認しましょう。
円満退職で次の転職先を見つけよう
今の職場が合わなくても、あなたに合う保育園は必ずあります。ご縁をつなげるためにも、円満退職することが、第二の保育士人生を歩む上でも重要なポイントになります。
働きながら転職活動をするか、退職してから転職先を探すのかはあなた次第。でも、辞め方はあなたの経歴として残ってしまうので、退職の仕方も意識しながら計画を立てるようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか。今すぐにでも辞めたいという気持ち。とても辛い状況ですよね。焦りや苛立ちもあるかもしれませんが、社会人の一人として、ルールを守って退職するためには、準備は必要不可欠!一人ではどうやって進めたらいいのか分からないという人は、転職支援サービスを利用してみてはいかがでしょうか。