保育士として働く中で、将来的には園長という仕事にチャレンジしてみたい!という目標を持っている人も多いものです。
でも、保育園の園長になるためには、明確な基準があるのでしょうか。ここでは、園長に求められる資質と、目指すための具体的な方法についてご紹介したいと思います。
園長の要件とは
園長の経験年数について明確な基準があるのでしょうか。東京都の認証保育所の設置基準の中には、対象児童や施設基準、規模や職員など細かく定められています。
その中の一つには職員(施設長)の要件が定められており、東京都認証保育所A型、B型とも以下のように定められています。
保育士資格を有し、かつ児童福祉施設等の勤務経験を有する者
参考:東京都保健福祉局
この規定によれば保育士の資格を所持し、児童福祉施設等での勤務経験があれば園長になることができます。ちなみに、児童福祉施設等というのは、児童福祉に関する事業を行う施設のことで以下の施設が児童福祉施設に含まれます。
【児童福祉施設とは】
保育園は第39条に定められていますが、保育園以外での勤務も勤務経験があるとみなされることになります。しかし、具体的に経験が何年以上という定めはないので、設置する行政や、保育園を運営する法人の判断に委ねられているという現状があります。
では、どのような基準で園長に適任かどうかを判断しているのでしょうか。
認可・認証保育所での経験
園長の業務は、子どもはもちろん保護者や地域、関係機関との連携など多岐に渡ります。
そのため、これらの業務を行うためには、保育園での勤務経験があり、なおかつ国や都、行政が管理している認可保育園や、認証保育園での勤務経験があることを重要視している法人が多いようです。
マニュアルや指針にもとづいて運営しなくてはいけません。認可保育園や認証保育所ではこれらが体系化されているため、園長の指導の元一般保育士にも管理の徹底が指示されています。
園長を目指したい人は、幅広い業務を知るという意味でも積極的に手を上げて事務作業や書類作成などを担当するように意識しましょう。
園長に求められる4つの要件
熱意
保育園の園長になると、クラスで見ていたのと違い保育園全体を見て管理していくという強い熱意が求められます。全体を把握するということは、簡単にできるものではありません。
子どもの名前やお迎えの時間帯、好きな遊びや課題となる部分など、全てが頭に入ってこそ、緊急時には経験の引き出しからベストな方法を指示できるのです。
熱意がない園長には、保育士はついてきませんし、子どもや保護者からも信頼されません。保育園全体を管理するという強い意思は簡単なようで実は難しいものなのです。
統率力
保育園には多くの保育士が働いています。保育士の個性を見極めて、保育士が働きやすい環境を整え、時には注意や助言、そして労いや褒めることも、リーダーには求められます。
今までは先輩保育士として見せてきたものを、意見が違う保育士をまとめていくのは容易ではありません。一人ひとりの意見に耳を傾け、保育園としてどの方法がベストなのかを見極めて判断していかなくてはいけないのです。
保育園という組織のトップになるため、保育士をまとめる統率力が求められます。
コミュニケーション能力
子どもや保護者、保育士や地域の人など、雑談力がなければ、会話は生まれませんし、信頼関係作るためにはコミュニケーションは必要不可欠!
仕事の報告・連絡・相談はもちろんですが、保育士に指導した後でも会話はフォローのツールとしても効果を発揮します。
ただ単に好きな事を話すのではなく、相手に合わせて話す内容を変えるなど高度なコミュニケーション能力が求められるのです。
管理職としての管理能力
園長は、担当を持たず、全ての業務が滞りなく行われているのかを定期的に管理しなければいけません。その業務は多岐に渡ります。
特に下記の5項目は園長としての管理能力が試されるので、オールマイティにこなしながら効率的に進めるタスク管理も非常に重要な部分になります。
- 保育園全体の把握と管理
- 保育士の指導・育成
- 外部との連携
- 予算管理
- 事務書類の把握・承認
過去に出会った園長を思い出してみてください。常に忙しそうにしている園長と、忙しいけれど保育士に声をかけてくれる園長とでは、コミュニケーションという観点でも欠けていることが分かります。
最初は大変かもしれませんが、過去に接してくださった園長の事を思い出しながら自分なりのスタイルを築いていけば大丈夫!園長は保育士の経験を生かせる集大成と言えるのではないでしょうか。
園長になるための選択肢
園長という仕事は、さまざまな業務を同時進行でこなしていかなくてはいけないため、誰でもできる仕事ではありません。
また、園長は保育園に一人しかいなので、空きが出るか退職者が出ない限り、なりたくてもなれないのです。では、園長になるためにはどのような方法があるのでしょうか。

園長になる方法ってそんなにあるんですか?

そうなんです。保育園の数や施設形態が増えている分選択肢も広がっているんですよ。ひとつずつ見ていきましょう。
同じ法人内でキャリアップ
園長を目指すなら、勤務している保育園で主任に昇格し、その後園長になるというのが一番理想ですが、主任や園長が退職もしくは、異動にならないとそのポジションに空きはでません。
そのため、園長として働きたいという希望があるなら、事前に法人本部の担当者に「保育士としてキャリアアップしていきたいです。将来的には主任を目指したい」という意思表示を伝えておきましょう。
あなたの力を見込んで、新規に開設する保育園で園長に抜擢されるケースや、異動で園長に昇格できるケースなど、チャンスはあります。
その際、法人によっては園長になるための資格要件を定めているケースもあるので、要件があるかどうかも合わせて聞いてみると良いでしょう。
転職して保育園の園長に
在籍している法人の資格要件が、経験年数が5年もしくは10年以上という縛りがあるなら、それ以下の経験しかない場合、園長には昇格できないことになります。
同じ保育園で経験年数も積むという方法もありますが、思い切って転職して園長にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
年度途中になんらかの事情で退職する園長もいますし、園長を異動させて新規園に力を入れるという方法を選択する場合もあります。
新しく保育園を開設する時には、保育士の確保は必要不可欠ですが、それ以上に園長候補がいないことには、保育園を開園することができません。
園長求人の多くは、非公開で求人をかけて募集を行うケースが多いので、年度途中でに開設する保育園を狙うか、オープニング園を目指すという方法があります。
園長になれば給料UPは望めますが、その分責任も倍に。
長い保育士人生の中で、一度は管理職を経験すると園長の大変さや、周りの保育士への気遣いの大事さを再確認することができます。やってみたいと思う気持ちがあるなら、道はたくさんあるのでチャレンジしてみましょう。
保育業界トップ5の園長給与
保育業界大手の会社では、園長や園長候補に対してどのくらいの給与を設定しているのか、下記の条件で調べてみました。
この結果を見ると、園長として応募しているのは、ライクキッズネクストが運営するにじいろ保育園だけ。他の保育園では園長の募集がありませんでした。園長の求人自体がないのでしょうか。
そうではありません。園長の求人は水面下で進めているので、意識しないと園長求人を探すことは難しいのです。
園長は非公開求人が多い
園長の求人は、新規開設でまだ情報を公開できないケースや、現在勤務している園長が退職するため、極秘で募集を行う場合などさまざま。
園長の求人が出ると、給与が高い分応募も殺到するため、面接に時間と労力がかかってしまいます。10人の応募者を選考するのと、園長に適任の保育士を紹介してもらうのとでは、その違いは歴然です。
非公開にすることで、求める人物像に適した保育士を紹介してもらい、保育園の運営を統括してもらうためには、保育士の人材紹介を使うのがベストなのです。
園長求人を探すポイント
転職支援サービスを活用しよう
非公開求人は、インターネットで検索しても見ることができません。それは転職支援サービスを行う会社が保育士の適正を見極め、園長にふさわしいと思う人に求人を紹介するためです。
園長といっても、認可や認証、事業所内保育所や院内保育所など、施設形態もバラバラです。人材紹介会社では、コーディネーターと呼ばれるプロが丁寧にサポートしてくれるので安心!
「園長職にチャレンジしてみたい。希望する施設形態は◯◯で、通勤時間は◯分位までなら可能、給与は最低◯円以上を希望したい」と具体的な条件を伝えると、それに合った求人があれば紹介してもらえます。
しかし、園長の求人はタイミングがあるので、一年中募集があるわけではありません。まずは、園長として働きたいと思う時期を決めること。そして転職支援サービスに登録し、相談しながら計画的に進めていくことが重要です。
- 会員登録キャリアアドバイザーから電話 or メールで連絡希望する条件を伝える
- 求人紹介希望する条件を合った保育園の求人を紹介
- 面接を受ける保育園を複数選んで日程を調整してもらう。
- 見学の調整も可能
- 面接面接対策
- 希望者には、履歴書の添削や面接対策を実施
- 代理で給与の条件交渉も可能
- 内定を辞退したい場合は代理で伝達してもらえます。
- 合否内定内定後のフォローと入職手続きに向けてサポート
まとめ
園長に求められる資質は多岐に渡りますが、大事なのは熱意とやる気です。プラス@としてできるものはどんどん取り入れて自分のものにしていきましょう。そして園長を目指すなら、転職支援サービスを利用してコーディネーターにアドバイスしてもらいながら、慎重に職場探しをするのも大事ですよ。