保育園で働くには、公立の保育園と私立の保育園で働くという選択肢があります。私立といえば、学校法人や社会福祉法人などが思い浮かぶかもしれませんが、株式会社が運営する保育園も増えてきているのをご存知ですか。
「保育園なのに、会社が運営しているの?」と思う人も多いのではないでしょうか。
そこで、株式会社の保育園で働くメリットとデメリットなど保育士が気になる疑問についてご紹介したいと思います。
株式会社保育園のメリット
直営保育園のブランド化
公立の保育園は、場所がすぐに分かるように地域を入れた保育園名にするのに対して、株式会社が運営する保育園は、かわいい名前が多いものです。
こちらは、保育業界大手5社が運営する保育園の名前です。どれもかわいい名前ばかり。
【保育業界大手が運営する保育園の名前】
- アスク保育園
- プチ・クレイシュ保育園
- にじいろ保育園
- ピジョンランド保育園
- ポピンズナーサリー


東京都を中心に直営保育園を運営している会社もあれば、関東近郊や、全国展開をしている会社などさまざま。
株式会社が直営保育園を運営するメリットは、ネームバリューによる法人のイメージアップと、一括購入によるコストの削減、その他経営的なメリットが期待できます。
保育士側のメリットはというと、保育士同士の横のつながりができるというのが、大きな特徴です。
保育園が多ければ多いほど、働く仲間も増えますし悩みを相談し合える存在は非常に大きいものです。会社によっては福利厚生の一つとして、バーベキューやスポーツ大会を行って交流を深めるケースも増えてきました。
年に1度でも同じ会社で働く保育士が集まって活動をするというのは、仲間意識も高まり仕事へのモチベーションも上がるのではないでしょうか。
職場の人間関係に悩んだ時、異動で解決できるケースも
どこの保育園で働いても、全く悩みがないという保育士はいません。みんな、何かしら悩みと向き合いながら、保育士の仕事を続けています。
人間関係や保護者からのクレーム、給与や待遇の低さなど、我慢の限界を感じた時、頭をよぎるのが「保育園辞めようかな」という現実逃避です。
退職して、一時的にストレスを回避したとしても、やっぱり子どもたちと関わりたいと転職を希望する保育士も少なくありません。
でも、転職となるとどのように活動を進めたらいいのか、そして新しい職場で馴染めるかどうかも悩みの種です。
株式会社が運営する保育園では、運営する行政は違っても、異動という選択肢があるのが大きな特徴です。
所属している株式会社は同じで、勤務する場所が変わるだけなので、引っ越しや新しい生活のための準備は必要ありません。
保育業界内の競争化で働きやすさが追求される
毎年多くの保育園が開園し、保育業界に参入する企業も増えてきました。各社、採用の強化を図っていますが、まだまだ保育士が足りない状況が続いています。
ひとりでも多くの保育士を採用するため、待遇改善を行い保育業界内で競争が起きているのです。仕事内容に見合った給与や休日が保障されなければ保育士は定着しません。保育園を運営する株式会社が多いからこそ保育士が働きやすい環境を常に模索し続けているのです。
保育園以外での勤務も可能
一般保育士から主任に昇格し、主任で経験を積んだ後、園長として保育園の管理を行うのが、代表的なキャリアビジョンになります。
しかし、主任もしくは園長が定年退職するか、異動をしないとそのポジションは空かないことになります。
そんな時に、新たなキャリアアップの道となるのが、本部での仕事です。
株式会社の保育園なら保育園のマネジメントをする本部スタッフや、保育士の研修企画、採用を行う人事担当など、保育園以外で視野を広げることができるのです。
現場を知っている保育士だからこそ、一度現場を離れて管理する側に立ってみると、違った視点でものごとを見る力もつくので、大きなスキルアップにつながるのです。
ある程度本部として管理のスキルを学んだら、もう一度現場に復帰してもいいですし、復帰すると当時悩んでいた人間関係も、アドバイスする形で解消してあげることも可能。保育士の悩みにも寄り添ってあげることができるのです。
株式会社保育園のデメリット
経営難で閉鎖や縮小の可能性も
メリットがあるということは、当然デメリットもあります。株式会社は営利を目的としているため、売上や利益がないと経営を存続することができません。
2017年4月に、姫路市の私立認定こども園で、保育士の水増し運営や、定員以上の受け入れなど、かずかずの不正運営が明るみになり認定が取り消され、閉園に追い込まれる事例がありました。
株式会社の保育園も信頼が第一ですので、信用を失うような事態があった場合、このように閉園に追い込まれる可能性もあります。
最終的には経営陣による判断になりますが、明日から急に閉園します。ということはなく、事前に経緯の説明や、今後の動きについては会社側からは必ず説明はあります。
保育士としてできることといえば、正当な運営を継続することです。これを一人ひとりの保育士が守り、全うすれば倒産や閉鎖ということにはなりません。
若手保育士が多く、保育の質が懸念される
保育園では若い保育士もいれば、中堅やベテラン保育士などが在職し、年齢の幅があります。
お母さん的な保育士もいれば、お姉さんや親戚のおばさんのような保育士など、家庭的な雰囲気は子どもを保育する上で非常に重要です。
しかし、経験が長いとそれだけ経験が加算され給与も高くなり、人件費が圧迫されることになるので、新卒や第二新卒など若い保育士を採用したいという意向があります。
若手の保育士が多いと保育の引き出しがなく、柔軟な対応ができないこともあり、保育の質が上がらないという懸念があります。
20代から60代まで幅広い世代で構成される保育園と、年代に偏りがある保育園では保護者の見方も厳しくなる傾向も。バランスよく配置したいという思いと採用状況を見ると厳しい現実があるのです。
保育業界大手の給与事情
正社員保育士のメリットとデメリットについて考えてみました。
でも気になるのは給与事情ですよね。ここからは。保育業界大手と呼ばれる5社について、同じ条件で給与について調べてみました。
勤務地:東京都
雇用形態:正社員
施設形態:認可園
新卒(短大専門卒) | 新卒(大卒) | 中途採用 | |
JPホールディングス | 168,000円 | 175,000円 | 243,000円 |
株式会社こどもの森 | 200,000円 | 202,000円 | 205,000円 |
ライクキッズネクスト株式会社 | 223,000円 | 225,000円 | 223,000円 |
ビジョンハーツ株式会社 | 設定なし | 200,700円 | 204,200円 |
株式会社ポピンズ | 210,300円 | 224,300円 | 224,300円 |
この表を見ると、新卒でも短大や専門卒と、大卒では金額が違いますし、中途採用は社会人経験を踏まえた給与設定であることが分かります。
実際に比較してみると、やはり高い給与を設定している法人が気になるものですよね。でも、正社員として働くなら、給与も大事ですが労働条件全般に目を向ける必要があります。
株式会社は待遇や条件に違いがある
株式会社が運営する保育園は、保育園を経営して利益を生み出す必要があるため、業績によって昇給や賞与の金額も変わってきます。
では、どのようなことを意識して働く会社や保育園を選んだら良いのでしょうか。
優先したいのは給与or待遇or人間関係?
基本給はあくまでも保障される月給の一つなので、プラス@で手当がつくかどうか、そして中途採用ならどれくらいの経験加算がつくかどうかが非常に重要なポイントになってきます。
そして年収に大きく関わる要因として、
- 昇給額
- 賞与の回数と金額
- 待遇や福利厚生
などが挙げられます。
給与や年収を確保したいのか、それとも、休日や研修制度が充実している保育園を選ぶのか。保障は他の保育園と比べると低くなるが、人間関係が良い保育園で長く働きたいと思うのか、優先するものによって、働く場所が全く変わってくるのです。
正社員保育士求人の探し方
株式会社の保育園で働くためには、ハローワークや法人の採用ページ、そして保育士の求人を紹介してくれる転職支援サービスからの紹介という方法があります。
インターネットでの求人検索は簡単ですが、募集要項に書かれている条件を読む解くのは非常に困難です。それは、基本給と書いてあっても、各種が手当が込みの場合もあれば、経験によってプラスされる場合もあり、面接で聞かなければ具体的な金額は分かりません。
何をどうやって選んだらいいのか分からず、最終的には月給で決めてしまい、入ってみたら違っていたと思うと、その先続けていけるかどうかも不安ですよね。
直接応募は給与の交渉が期待できない
上記の保育業界大手の中で、気になった保育園のホームページから採用情報に入り希望する勤務地を選択して応募したとします。
担当者から連絡が入り、履歴書の送付を指示されるか、もしくは直接面接というステップに入る会社も増えてきました。保育士の資格を持っていて、特に問題がない人物の場合は、すぐに採用に向けて話が進んでいきます。
会社側は早く保育士を配置したいという思いから、面接の当日に採用内定を出すことも。
配属される保育園の紹介や、勤務を開始する日にちの確認。具体的な勤務についての話が進んだ後、給与を提示されたとして、もしその金額が思っていたより低かったら、あなたはその場で「もう少し給与をあげてもらえることはできますか」と交渉できるでしょうか。


ほとんどの人が躊躇してしまうものです。
給与の金額は妥協したくないという人は、保育士の求人を扱う転職支援サービスに間に入ってもらい代理で給与の条件交渉をするとう方法があるのです。
保育士専門の転職支援サービスを利用する
保育士不足により、保育園を運営する会社は保育園の開園と保育士の採用、そして退職に伴う補充が追いついていない状況があります。
そんな保育園の状況を知り尽くしているのが、保育士専門の転職支援サービスです。給与や手当、賞与の額や保育園や会社の評判などを情報として持っているので、希望する条件を伝え、それに近い保育園を紹介してくれることが可能!
- 無料の会員登録
勤務形態・施設形態・通勤可能なエリア・希望給与額・福利厚生のチェック・就業開始日
- 求人紹介
- 面接の日程調整
- 合否(内定 or 辞退)
無料で会員登録できるのは、保育士1人を紹介すると紹介料が発生するという仕組みで成り立っているので、転職を希望する保育士は、このサービスを利用しない手はありません。
給与の条件交渉も任せることができる
募集要項に基本給が書かれ、経験により異なると書かれている場合は、経験加算として基本給に上乗せしてもらえる可能性があります。
しかし、経験加算の相場がいくらなのか、どのように交渉したら上げてもらえるのかは、現場で働く保育士には想像がつかないものです。
給与は高いに越したことはありませんが、下手に交渉して印象が悪くなるより、会社同士で決めてもらったほうが気持ち的にも楽ですよね。
希望通りになるかどうかは、時期やタイミング、コーディネーターの腕にかかっているので、希望を叶えてくれる転職支援サービスを見つけることが、給与アップにつながるのです。
まとめ
いかがでしたか。保育園を運営する法人が多様化している中、正社員として働くメリットを知ることは大事な情報収集の一つです。入ってみてやっぱり違ったということがないように、事前に調べてその先は転職のプロに相談しながら進めてみてくださいね。