仕事をする上で、ビジネス用語として定着している「ほうれんそう」という言葉。
保育の現場でどのように実践したらいいのか分からないという人も多いものです。
今回は、耳にしたことはあるけれど、使い方や使うメリットが分からないという人のために、保育士の「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」について分かりやすく解説していきたいと思います。
最後まで読んでもらえると「そういうことね!」と明日から使えるようになるので、早速チェックしていきましょう。
報告・連絡・相談が徹底されないと起こるトラブル
この報告・連絡・相談は、普段皆さんが何気なく実践していることを言葉に表したものです。言葉にすると難しく聞こえるかもしれませんが、これらが保育士の中で共有されないと、さまざまなトラブルに発展する可能性があります。
例えば、園児がケガした事例をその後の対応に追われて、報告するのが遅くなってしまったとします。それを別の保育士から聞いたとしたら、いい気持ちはしません。


保育の中ではいろいろな事が起きるので、後で伝えようと思ったとしても、「聞いた」「聞いていない」という問題になってしまうこともあるのです。
仕事の中で得た情報を該当する保育士に伝えるということが徹底されないと、保育園の中に潜む人間関係を悪化させてしまうことにつながります。
逆を言えば、報告・連絡・相談が徹底されていれば、お互いに信頼関係が強くなるとうことも期待できます。
仕事の中で報告・連絡・相談は重要なのでそのやり方について確認していきましょう。
「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」とは
「ほうれんそう」とは、仕事をする上で意識したい、報告・連絡・相談の一文字を取ったもので、略してほうれんそうと読んでいますが、どの仕事にも共通するものです。
この「ほうれんそう」とは、1982年に当時の証券会社の社長が、社内のキャンペーンとしてはじめたことがきっかけでした。
今から35年以上も前から、そんな取り組みが提唱されていたとは驚きですよね。
今の時代、電話はもちろん、電子メールやSNSを使ったコミュニケーションツールが発達しているので、何かあればすぐに伝えることができます。
しかし、伝える手段が限られていた時代だからこそ、どのように社内で共有するべきかを考え、生み出したのが「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」なのかもしれませんね。
保育園での報告とは
「ほうれんそう」の報告は、園長や主任など上司が保育士に対して指示したことに対して、経過や結果を報告することを指します。
しかし、厳密には保育士同士で報告し合ったりや、園長から一般保育士に対しての報告もあるので、定義を忠実に守る必要はありません。
保育園ではクラス担任やフリーの保育士などいろいろな立場の保育士がいるので、子どもたちの様子で変わったことがあった場合、状況を伝えるという意味で何かあったら報告するということを考えておくと良いでしょう。
保育園での連絡とは
「ほうれんそう」の連絡は上司や部下に関係なく、情報を関係者に伝えることを連絡と言います。例えば、いつも18時にお迎えのA君のお母さんから電話があったとします。

電話を受けた保育士は、クラス担任、遅番の先生、園長や主任などに情報として伝えます。
当たり前のことですが、実際は遅番の先生に伝達が漏れていたり、どの人にこの情報を伝えるべきかの判断をしなくてはいけないので、迷ってしまう部分なのです。
もし、迷ってしまったら先輩保育士に伝えた時に、

と聞いてみてもいいでしょう。聞くことは恥ずかしいことではありませんし、漏れがないように他の保育士に助言してもらうのも一つの方法ですよ。
保育園での相談とは
最後は「ほうれんそう」の相談についてです。
これは文字通り、だれかに相談することで、自分では判断できない場合、情報を伝え助言をもらうことです。
保育園では熱が出た時、高熱ではないが、食欲がなかったことや、いつもよりトイレの回数が少なかったなど、対応する保育士にしか分からない情報はたくさんあります。
そんな判断に迷った時には、クラス担任や園長、主任などに情報を伝え,助言をもらいます。
緊急でなくても、子どもたちの状況は常に連絡を取り合うことを考えておきましょう。
時には、お互いに情報を出し合い子どもたちの様子を伝え保育士の中で相談して決める場合もあります。
判断に迷う時や、これで良いのかと思う時には、いろいろな保育士に相談すると、子どもにとって最善の選択をすることにつながります。
相談することを迷ったり、躊躇したりせず、気になることがあったらすぐに話し合える関係づくりをしておくことが重要ですよ。
だから保育士の「報告・連絡・相談」は大事!
改めて「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」を確認してみると、実は無意識に実践できているので、難しく考えなくても大丈夫です。
でも、もしこの「ほうれんそう」がなかったとしたらどのようなことが起きるのでしょうか。
子どもがけんかをして、噛み付いてしまった時、その状況を見ている保育士が一人しかいなかったので、保育士は慌てて保護者に連絡をしてしまう。
仕事中にいきなり、ケガをさせられたと知った親はびっくりして、すぐにお迎えにきてくれるかもしれません。でも、慌てて保育園にお迎えに行き、子どもを見たら何事もなかったかのように遊んでいる。
これは、噛みつきがどのような状況で起こったのか、関係する保育士に連絡がなかったこと。
そしてその事実を園長や主任に報告し、保護者に電話をしても良いかどうかの指示を仰がなかったこと。
どうして噛み付いてしまったのか、見ている保育士は本当に誰もいなかったのか、他の保育士に相談しなかったことなど、報告・連絡・相談をしないことで、少し考えただけでもこんなにデメリットが考えられます。
事故やケガの時には特に、報告・連絡・相談は重要です。
- 誰が誰に噛み付いたのか
- 噛み付いた原因は
- 噛み付いた後の対処は
- 経過観察して変わったことはあったのか
- 保護者への連絡はどの段階でするのが妥当か
- 保護者がお迎えに来た時に誰がどのように報告するか
などの検証が必要なので、小さなことでも、気になったことはこまめに報告・連絡・相談を徹底しなければいけません。小さなことでも伝える習慣をつけておくと、保育士同士のコミュニケーションにも繋がります。
報告・連絡・相談という定義はあっても、伝え過ぎて仕事に支障をきたすということはないので、気になることがあったら、伝えあうようにしましょう。
保育士が「報告・連絡・相談」を行う時の3つのポイント
保育園で過ごす子どもたちは、さっきまで元気に遊んでいたのに、急にぐったりして熱が出て急変するということもしばしばあります。
そのため、ほうれんそう(報告・連絡・相談)を行う時には以下の3つを意識するようのがポイントです。
- 伝えるタイミングすぐに報告・連絡・相談すべき事項なのか、緊急性があるものか、もしくは子どもの対応が終わってからでも大丈夫なのかの見極めが重要です。
- 伝える場所子どものけんかの場合、子どもがいる場所で報告・連絡・相談をすると子どもたちに聞かれてしまう可能性があります。保育室の端で子どもと距離を取りながら、全体の子どもが見える位置で話すか、子どもがいない事務室で話すか、伝える場所も考えましょう。
- 5W1Hで明確に端的に伝えるためにも、以下の項目を考えた上で的確に伝えるようにしましょう。
- When:いつ
- Where:どこで
- Who:誰が
- What:何を
- How:どのように、どのような
- Why:なぜ
上記を実際の状況に当てはめてみると、
- いつ午睡で起きた14:15分ごろ
- どこで4歳児のお部屋で
- だれがあいちゃんと、めいちゃんが
- どのように布団に足が引っかかり、あいちゃんの頭とめいちゃんのおでこがぶつかってしまった。外傷はなく、泣いてはいないが現在保冷剤で冷やして様子を見ている。
このように伝えると、一回の伝達でどのような状況かを把握することができるのではないでしょうか。もちろん、上記のような事例の場合、その後どのような対応が必要なのか、周りにいた子の状況把握なども必要ですが、一例として簡単な状況でご紹介しました。
5W1Hが基本ですが、事例によってはこの限りではないので、その場その場で端的に伝えられるように工夫してみてください。
日々の保育で報連相を習得しよう
保育園で仕事をする上で、あなたが得た情報は周りの保育士と共有してはじめて、連携しながら子どもたちを保育することにつながるのです。
あなたが知ったことは該当する保育士に伝えることが、報告・連絡・相談の基本なので、気になったことや共有した方が良いと思ったことは積極的に発信するようにしましょう。
あなたがこの報告・連絡・相談を徹底していれば、一緒に働く保育士も同じように返してくれるはずです。
報連相ができるようになると仕事もうまく進む
得た情報はすぐに伝える。共有することを徹底していくと、みんなが同じ方向を向いて子どもたちに向き合えるようになります。
この報告・連絡・相談が的確にできるようになれば、どの職場に行っても信頼関係を築くスキルの一つになります。
的確な情報の伝達は、「この人は信頼できる」と思ってもらえることにもつながるので、実践していってみてください。
まとめ
いかがでしたか。保育士の「ほううれんそう(報告・連絡・相談)」は子どもたちの安全を守る上で非常に重要です。報告・連絡・相談というと、何をどう伝えたらいいのか迷ってしまう人もいるかもしれませんが、気になったことがあったら、すぐに伝えるようにすると、子どもたちの安全はもちろん、保育士のコミュニケーションにも繋がるので実践してみてくださいね。