保育園での勤務が長くなればなるほど、保護者との関係も近くなってくるものです。慣れが出てくると陥ってしまうのが、保護者との関係によるトラブル。
そこで、保育士が保護者との関係で気をつけなければいけないことについて考えてみたいと思います。
年代が近いからといって仲良くなり過ぎない
保護者の中には、話しやすい人と話しにくい人、そしてお迎えにきてもすぐに帰ってしまう人がいます。保育士も人間なので、話しやすいママとはコミュニケーションが取りやすいですし、子どもたちの様子を伝えながら意気投合することもあるのではないでしょうか。
フレンドリーに話ができると嬉しいもの。ましてや年代が近いとなると、心の距離も近くなりますよね。ここで注意したいのが、仲良くなり過ぎてしまうと、距離のブレーキを取ることができなくなり、トラブルに発展してしまうということです。
話が弾み、敬語がタメ口になり始めると黄色信号なので、仕事上の関係であることを再確認しましょう。
連絡先やLINEの交換はダメ
話しやすい保育士は、保護者の方も心地よいものです。子育ての相談にのってもらえるので、連絡先を聞いてくるケースも少なくありません。
特に最近では手軽に連絡先が交換できるLINEは要注意!「他の先生には内緒にしておくから友達追加しておいてね」とIDを渡されることもあります。
保育園によっては、就業規則やマニュアルの中に保育園以外で保護者と連絡することを禁止している所も。ルールを破ってしまうと、あなた自信が注意を受けることになってしまうので、交換しないようにしましょう。
また、卒園を機に連絡先を渡してくる保護者もいますが、保育園の関係者であることには変わりないので、卒園した保護者であっても連絡先の交換は控えた方が懸命です。
もし、保護者に「先生、LINE交換しよう」と言われたら、「規則で禁止されているので申し訳ありません」とその場で丁寧にお断りすること。受け取ったままで返答が遅ければ誤解を与えてしまうので、すぐにお断りするようにしましょう。


LINEにまつわるトラブルが多い場合は、年度当初の保護者会で保育園からのお願いとして伝えるのも有効ですよ。
子どもの発表会へのお誘い
子どもの様子を的確に伝えてくれ、お迎えに行った時の対応が良い保育士は、保護者からの信頼も厚くなります。
そして、自分の子どもに対して熱心に接してくれる姿を見ると、習い事でがんばっている姿も見て欲しいと思い、発表会のお誘いを受けることも少なくありません。

保育士としても、保育園以外の様子はみたい所ですが、特別対応してしまうことになるため、個人的なお誘いはお断りしなければいけません。
クラス担任が複数いる場合、一人が発表会に出席し、他の保育士が出席しなかった場合、来てくれた保育士は良い先生になってしまいます。
見に行かなかった保育士は付き合いの悪い先生という印象がついてしまうことも。
保育園に通っている子どもたちや保護者に対して公平に接するということを考えると、一人だけ出席するのは良いことではないことが理解できますよね。
食事の誘いもトラブルの元
「LINEがダメなら、ランチやママたちとの食事会に来て」とお誘いを受け、頭を悩ませたことがある保育士も少なくないのでは。誘われれば嬉しいですし、食事ぐらいならと心が動くものです。
しかし、話が盛り上がり参加していない保護者の文句になってしまったら、その場にいた保育士も賛同してくれたと噂が流れてしまうこともあり、トラブルに発展してしまう可能性も。
保育士の仕事は、仕事とプライベートを切り離すことが重要であり、自分自身を守ることにつながるので、お誘いを受けたらその場で断ることを意識しておきましょう。
断り方ですが、相手の意思を尊重することも大事なので、返答の仕方も事前に考えておかなければいけません。
「保育園のルールで禁止されているので、皆さんで楽しんできてくださいね」と伝えると受け取り方も変わってくるのではないでしょうか。
他の家庭の個人情報は口外禁止
最後は、意外と見落としがちな個人情報についてです。個人情報には細心の注意を払わなければいけないのは理解している保育士も多いと思いますが、保護者から誘導されるケースについても改めて再確認する必要があります。
一緒に遊んでいるお友達のことを伝えることもありますが、意外と親同士は仲が良くないということも少なくありません。
母親社会の中には、パパの職業や年収、ライフスタイルなど意外と気になるもの。相手の保護者に聞きづらいことも、保育士に聞いてきたり、子どもを介して親の職業を聞くケースもあります。
保護者の言葉に誘導され、家庭環境のことを話さないよう、改めて気持ちを引き締めることが重要です。
「●●ちゃんのママっていつもお迎え遅いんですね。お仕事は何しているんですか?」と聞かれたことがある人も多いのではないでしょうか。
応えてしまうと、個人情報を漏洩することになるので、誘導尋問に流されないように注意しましょう。保護者の中には、情報管理について疑問を抱いている人も。口コミではこのような意見がありました。
悪気がなくても、『Oさん、あの会社にお勤めなんですよね』とか言われると、情報管理はどうなっているのか不安になります。世間話ってけっこうデリケートですよね
引用:マイナビ2018保育のシゴト
保護者は、他の家庭の話を耳にすると、自分のことも話されてしまうのではないかと、不信感を持つきっかけになってしまうので、どんな個人情報であっても、保育士側から話すのは絶対にやめましょう。
こんな対応は好感が持たれる
保育士として接する上で、気をつけなければいけないことを見てきましたが、逆にどんな対応をすると共感を持ってもらえるのでしょうか。実際に子どもを保育園に預けている保護者の声を見ていきたいと思います。
繁忙期で毎日『遅くなります』と電話、申し訳ないと思いながら迎えに行ったとき先生が、『お母さん、大変ですね。大丈夫ですか』って。とても救われました
引用:マイナビ2018保育のシゴト
下の子を出産した後、上の子が保育園に行きたがらない時期があったんです。大泣きするのに手こずっていたら、3人のお子さんを育てたベテラン先生がすごく気に掛けてくださって。子どもだけじゃなく母親も支えてもらいました。保育士としてはもちろん、先輩ママとしても頼りにしています
引用:マイナビ2018保育のシゴト
明るさがポイントです。保育士さんが1年生でできないことがあっても、一生懸命さは必ず親にも伝わって来ます
引用:マイナビ2018保育のシゴト
学校を出たばかりだと、育児経験があるわけではないし、お母さんたちの多くは年上だし、緊張することもあるかもしれません。でも私のように初めての子どもで不安ばかりという母親もたくさんいます。プロの立場でいろいろ教えていただけたら嬉しいですね
引用:マイナビ2018保育のシゴト
保護者は子育ての有無という観点で保育士と接している訳ではなく、保育のプロとして大事な子どもを預けています。
謙虚な気持ちを持ちながら、明るく元気に、保護者と一緒に子どもたちを育てていくという意識を持って接すると、保護者のちょっとした変化にも気づくのではないでしょうか。
あなたは立派なプロの保育者です。ルールを守り、子どもと同じように保護者にも声をかけるように心がけると、保護者との信頼関係を深めることができます。保育のプロとして自信を持って接するようにしてみてくださいね。
まとめ
保育士は子どもたちの情報を伝えるため、保護者と信頼関係を作りながら連携していく必要があります。毎日話していると、距離が近くなっていく反面、保育士として気をつけなければいけないことも出てきます。仕事柄やってはいけないことを普段から意識しておくことがトラブルを回避するための手段になるので、改めて確認してみてくださいね。