厚生労働省が発表した、平成28年の平均寿命は男性が80.98歳、女性は87.14歳でした。
この年齢を見ると、60歳で定年を迎える企業が多い中、退職した後20年以上にも渡る第2の人生をより豊かに送るために仕事やボランティアを探す人も増えてきていいます。
そこで、60歳以上のシニア世代が保育士として働く事はできるのか、需要と求められる役割について考えてみたいと思います。
参考:厚生労働省「平成28 年簡易生命表の概況」
目次
60歳以上の求職者の増加
参考:厚生労働省「労働市場分析レポート」
60歳を一つの区切りとして定年制を設ける会社も多いですが、年金受給年齢の引き上げと共に、再雇用などの制度を取り入れ、65歳まで働く事を選択する人も増えてきました。
中でも、60歳以上で保育士に再就職を希望する人や、資格を持っていないが、子どもたちと関わる仕事を希望する人も増加傾向に。
厚生労働省は「60歳以上の保育士に係る求人・求職状況」として求職者の数を表すレポートを公開しました。
それによると保育士の資格を持ち、保育園で働くことを希望する保育士と、無資格だが保育園で働きたいと希望している人の具体的な人数が分かります。
このニーズに目を向け、保育園では人材を有効活用すべく、60歳以上でも働ける環境を整備する動きも活性化しているのです。
年齢不問求人の増加
保育園では、園長や主任というポストの他、年齢バランスを見ながら常勤保育士の配置をしていきます。
全体のバランスが整い、後は配置人数を満たすため、パート保育士の力を借りてシフトを埋めていきます。
その際、多くは常勤保育士で年齢や経験のバランスがカバーされているため、パートの募集では年齢の制限をつけません。
この年齢制限がないため、60歳以上でも条件が合えば就労することが可能になるのです。
資格ななくてもOKの保育補助
60歳以上で働くには、年齢の問題の他に、経験や知識という事がネックになってきます。
しかし、多くの人は人生経験が長く、子育てに携わってきた人も多いので、資格がなくても保育補助という職種であれば、勤務することが可能なのです。
年齢と資格の2つの問題がなくなることで、60歳以上でも働く場所があると共に、労働の機会が与えられるということは、第2の人生を華やかにしてくれるきっかけになるのではないでしょうか。
60代以上のシニア保育士が求められる理由
保育士の人手不足の解消に一役担う60代以上の活躍ですが、配置人数を埋める他にどんな役割が求められているのでしょうか。
資格の有効活用
まずは、保育士の資格保持者の場合、「経験」という大きな財産があります。その財産を保育園で生かし、若手保育士の見本となってもらいたいという期待があります。
パートという立場で仕事を共にすることで、常勤同士のトラブルにもなりませんし、常勤は経験のある先輩としてフラットに接することができるのす。
パートとして入ることで、あなた自身も過去の経験を思い返して、良きアドバイスができるのではないでしょうか。
年齢不問求人の拡大
参考:厚生労働省「労働市場分析レポート」
年齢制限がある求人は、保育園の中の年齢バランスの他、近くの公園まで遠い場合は若い保育士を配置するなど、さまざまな理由があり制限をかける場合があります。
しかし、年齢制限がある求人はまれで、年齢不問の求人が増加していることも60代以上の受け皿が広がった理由の一つ。
同じく厚生労働省の調査によると、年齢制限のある求人と年齢不問の求人数は上記の通りです。
年齢不問の求人が圧倒的に多いことが分かります。
無資格でも勤務可能
保育園では保育士のサポートをする保育補助という仕事があります。
これは、その名の通り、常勤の補助をする仕事なので保育士資格がなくても働く事ができます。
この保育補助という仕事は、これから保育士を目指す学生や、子育てが一段落した主婦、そして定年後の新しい働き方として、60代の求職者におすすめなのです。
もちろん、保育補助を求めている施設とそうでない施設があるため、実際に働くにあたっては、応募する保育園を検討しなくてはいけません。
無資格でも働ける保育補助という仕事を知っているからこそ、希望する人も多いのかもしれません。
シニア保育士としての役割
シニア保育士は、保育士不足を解消する一役になる他、どのような役割が求められるのでしょうか。
保育士や保護者に安心感を提供
保育園で働く保育士は、20代から60代と幅広い年齢で構成されます。
子どもたちにとっては、おばあちゃん的な存在で関わり、保育士には人生の先輩、そして保護者には保護者の親世代に近い感覚で接するため、みんなに安心感を与える事ができるのです。
何も取り繕う必要はなく、接した人が無意識に周りにいる近い存在と照らし合わせ安心してくれるのは、人生経験があるからこそのスキルなのではないでしょうか。
シニア保育士自身も活性化できる
定年後、もしくは60歳以降で仕事に就くということは、ある程度のキャリアや人生経験を経てのステップになります。
今まで保育士として働いていた人は、常勤からパートという働き方に変わり、責任ある立場から気持ち的にも余裕を持って保育することができるようになるのではないでしょうか。
そして新たに保育園で働くという選択をした人は、子どもたちの笑い声と共に、新鮮な毎日を送ることができ、子どもたちの成長からやりがいを見出すことにつながります。
求職者である60代はもちろんん、保育園、そして子どもたちや保護者など、全ての人に対して良い環境になるのです。
シニア保育士の仕事内容
次はシニア保育士の具体的な仕事内容についてです。
60代という事もあり、体力的にハードな事は十分分かっているので、補助的な役割の仕事になります。
それは、常勤保育士の補助や、清掃や片付けなどの環境整備。年齢を考慮した仕事が分担をされるので安心してください。
子どもたちの保育の場面では、立ったり座ったり、中腰の姿勢など体に負担のかかる動きもあります。体調を見ながら少しずつ体に負担のかからない姿勢やストレッチを取り入れて慣れていくようにしましょう。
勤務時間は相談して決定
体力や仕事内容の次に心配なのが勤務時間についてです。
保育士側が希望する時間と、保育園側が求める時間は違うかもしれません。
しかし、お互いに譲り合い条件が合えば勤務することも可能なので、あらかじめどのくらい働けるのか考えておくようにしましょう。
その際、曜日や時間など具体的な希望を考えておくと、調整しやすくなるので家族と話し合ってみてくださいね。
年齢不問・保育補助・資格不問求人を探そう
シニア保育士は、上記の求職者の数から見てもこれから需要が増える事が予想されます。
しかし、実際に働くにあたっては、慎重に職場選びをしなければいけません。
求人を探す時のポイントは
年齢不問。保育補助。資格不問に加えて自宅からの通勤時間もポイントになってきます。
できれば電車で乗り換え無しで行けるのがベストですし、自宅から近く自転車で通える所なら体力的に負担がかからないかもしれません。
でも、これらの希望を網羅する求人はあるのでしょうか。
あったとしても60代で採用されるのか心配という方におすすめの方法を紹介します。
探し方が分からない人は無料相談を活用しよう
やってみたいという希望を実現させるためにも、個人で探すのには限界があります。
そこで、保育士の求人を扱う転職支援サービスを利用してみましょう。
「転職というほどではない」という人でも転職支援サービスは、パート保育士や未経験者、資格は持っていないけど保育園で働きたいという求職者のサポートを行っています。
資格不問の求人を紹介しているサイトはこちらをご確認ください。
まとめ
いかがでしたか。人生80年、いやこれから100年の時代がくるかもしれません。自分の人生をより豊かにするためにも、やりたいと思ったことは、どうやったらできるのかを考え実践していきましょう。数カ月後あなたが子どもたちと接している事を陰ながら応援しています。